第15回 暗号及び情報セキュリティと数学の相関ワークショップ
(CRISMATH 2024)


(最終更新:2024年12月3日)
日程
2024年12月23日(月)午後〜12月24日(火)午前

会場・形式 対面とオンライン(Zoom)のハイブリッド形式
現地会場:九州大学 伊都キャンパス ウエスト1号館 D棟 4階IMIオーディトリアム(W1-D-413)

参加登録(参加費無料) 参加をご希望の方は、参加登録フォームよりご登録ください。登録後の画面に、Zoom情報が掲載されますのでそちらを保存しておいてください。保存忘れなどの場合は回答確認メールから再編集し取得するか、再登録ください。
現地参加をご希望の方も、上記フォームより参加登録のご協力をお願いします。

開催趣旨

近年、暗号をはじめとする情報セキュリティ分野においては、従来よりも専門性の高い数学の知見に基づく様々な研究が進められています。一方で、数学分野においては、これまで以上に周辺分野との研究連携を推進する機運が高まっています。
本研究集会では、これら二つの分野の研究者・学生の方々が研究的交流を行う場を提供し、両分野にわたる研究連携を推進することを目的として、両分野に関連するいくつかの研究トピックの紹介を行います。

プログラム(敬称略:全講演が招待講演です)

12月23日(月)

13:30 - 15:00
篠﨑 拓実(東京科学大学 情報理工学院 数理・計算科学系)
「FuncCPA安全性とFuncCPA+安全性の関係について」
15:10 - 16:40
岩本 貢(電気通信大学 大学院情報理工学研究科 情報学専攻)
「情報理論的安全性〜確率的独立性をこえて〜」

12月24日(火)

9:00 - 12:00 (オンライン講演:会場でも配信されます)
チュートリアル講演:松田 隆宏(産業技術総合研究所)
「選択暗号文攻撃に対して安全な公開鍵暗号」

講演概要(講演順、敬称略:全講演が招待講演です)

チュートリアル講演

松田 隆宏(産業技術総合研究所)
「選択暗号文攻撃に対して安全な公開鍵暗号」
公開鍵暗号は主要な暗号要素技術の一つであり、選択暗号文攻撃に対する安全性は、実利用される公開鍵暗号においてデファクト標準として要求される主要な安全性である。本講演では、選択暗号文攻撃に対する安全性を満たす公開鍵暗号方式の主要な構成法の安全性証明を題材として、暗号要素技術の安全性定義や、安全性証明技法の基礎を説明する。

一般講演

篠﨑 拓実(東京科学大学 情報理工学院 数理・計算科学系)
「FuncCPA安全性とFuncCPA+安全性の関係について」
FuncCPA安全性とは,Akavia,Gentry,Halevi,Valdによって提案された公開鍵暗号の安全性である.この安全性は,IND-CPAゲームにオラクルを追加することで定義される.このオラクルは,暗号文の列と関数を受け取り,暗号文を復号した結果に対して関数を適用し,その出力を暗号化して返答する.この定義は,サーバが計算の一部をクライアントに委任することが許可されている秘密計算において重要である.Dodis,Halevi,Wichsは,FuncCPAよりも強い安全性としてFuncCPA+を提案し,IND-CPAを満たす方式からFuncCPA+を満たす方式を構成できることを示した.
FuncCPA+を満たす方式はFuncCPAも満たすことが示されているが,その逆,FuncCPAを満たす方式がFuncCPA+も満たすかどうかは未解決の問題として挙げられている.
本講演では,FuncCPAとFuncCPA+,およびそれらの変種であるReEncCPA,ReEncCPA+などについて解説し,それらの強弱関係を説明する.

岩本 貢(電気通信大学 大学院情報理工学研究科 情報学専攻)
「情報理論的安全性〜確率的独立性をこえて〜」
情報理論的安全性はシャノンが提唱した安全性概念であり, 攻撃者の計算能力を制限せずとも安全性が保証できるという意味で, 最強の安全性概念であると現在でも考えられている. 数学的には,条件付確率を用いて簡単に定式化できるが, その妥当性を考えると,情報理論的安全性のさまざまな側面が見えてくる. 本講演では,シャノンによる確率的独立性の定義から出発し, 情報理論,確率論,理論計算機科学などの視点から, 情報理論的安全性の妥当性を多角的に考察する.

実行委員(五十音順)等