授業の評価

「幾何学I(学部2年生)」

(1999年10月〜2000年2月)


本講義では距離空間の基礎的概念を修得することを目標とした.集合論の復習,数直線上での数列の収束・関数の連続性の復習,開集合の概念とそれによる連続性の特徴付けの後,本論である距離空間の理論に入り,点列の収束,写像の連続性,開集合の概念,さらに完備距離空間における縮小写像の原理,コンパクト性の解説をし,最後に距離空間を一般化した位相空間の概念についてほんの少し解説した.

毎回の初めに前回の復習を必ず行った.これは学生側には好評であった.また時間中に各自に演習問題を解いてもらい,その一部を小テストとして提出してもらった.そのため時間を多少オーバーしてしまうことが何度かあったのは反省している.小テストの模範解答と解説を書いたプリントを次回に必ず配り,各自の学習に役立ててもらった.また数直線に関することを中心に中間試験を行い,その結果を返却し,解答の解説もプリントにして配った.アンケートでは,講義自体はわかりやすく,丁寧な教え方であると好評ではあったが,一方内容が高度に抽象的で難しくテストはできなかった,というものも多かった.確かにその通りで,幾何学的な面白さを伝えられなかったのは私も反省している.ただもう少し各自復習に時間を割いて欲しかったというのがこちら側の要望である.

理学部の教官として初めて学校教育学部で講義をさせて頂いたが,学生が熱心に聴講してくれて印象が大変良かった.ただ論理的で抽象的な議論には弱い学生が多いということもわかったが,これは仕方がないであろうか.今後の学生諸君の努力に期待している.

2回の試験を含めて15週講義を行い,出席状況,小テスト,2回の試験,レポートの結果をもとに成績評価を行い,48名の受講者中42名の単位を認定した.


佐伯修の教育活動