講義を終えて

「教養ゼミ」

(1998年4月〜1998年7月)


本教養ゼミでは、組合せ論を大変初等的に、しかも初心者の興味を引くような形で紹介している教科書(高校程度の知識でもわかるような内容になっている)

「入門 組合せ論」ラスロウ・ロバース他著、秋山仁+ピーター・フランクル翻案、共立出版

(のほんの一部)をテキストとして、グラフ理論の基礎的な事柄を、セミナー形式で勉強していった。

内容としては、まず、なぜグラフという数学的対象が重要になってくるかを、パズル的な問題をもとに説明した。その後でグラフの定義をし、「人数が奇数のどんな集団にも、知り合いの人数が偶数である人が必ずいる」という定理を応用として示した。さらに、同値類の概念について簡単に触れた後、グラフの連結性の話に入り、ネットワークをできるだけ安価に作る方法を見つけるためのアルゴリズムを勉強した。最後はオイラーの公式にちょっと触れただけで時間切れとなった(なお、出張のため、第11回目のゼミは足助先生に代わりに指導していただいた。この場を借りて、感謝したい)。

グラフ理論を学ぶというよりも、グラフという数学的対象を通して、数学的な面白さに少しでも触れてくれたらそれで良い、という気持ちでゼミを行っていったが、こうした私の思惑はみごとにつぶされてしまった。

セミナー形式で行っていったわけだが、黒板を使って発表するということに慣れていない学生が多く、かなりとまどったようであった。また(予期していたことではあるが)発表中に、聞いている学生からの質問はほとんどなく、発表者と私の二人のやりとりに終わってしまったことがほとんどであった(セミナー中、こちらから、聞いている学生に問いかけても、そのときですら反応はあまりなかった)。さらに、グラフ理論というテーマが気に入らなかった学生が多かったようで、ゼミに積極的に参加しようという学生がほとんどいなかったのは残念であった(3年次編入の学生は、既にグラフ理論は勉強済みで、ゼミの内容はそれほど真新しいことでなかったらしい。他の学生の中には、グラフ理論が大嫌いという感じの学生もいた)。いずれにしても、グラフ理論を選んだのは私の大失敗であった。

もう少し詳しく言うと、12回行ったゼミについて、9人の学生の出席状況は以下の通りであった。
 
学生1
学生2  学生3  学生4  学生5  学生6  学生7  学生8  学生9 
出席数 
11
12
遅刻数 
10
欠席数 

(遅刻は、5分程度のものから、1時間20分程度のものまで含む。)

ゼミが1コマ目にあったということもあって、ゼミの際中にいねむりをしている学生が少なからずいた。さらに、毎回のように10時頃にやってくる学生もいた。

学生の興味を引くゼミにできなかったことに、私は大変責任を感じているが、それを差し引いても、ゼミに対する学生の態度には、正直なところ、内心、
憤りさえも覚えた。とにかく、ゼミで自分の番がまわってくるとわかっているときでも、何の連絡もなく休んだり、遅刻したりしてくる学生が続出し、ゼミが進行不可能の状況に何度も陥った(その際は、解析等、他の講義の質問を募ってその場をしのいだ)。さらに、ゼミの最中に別の講義のレポートの内職をしている学生がいたこともあった。はっきり言って、教官としては大変情けないが、最後の方は私の方がやる気をまったくなくしてしまった。

どうも今までと同じ方法が通用しなくなったようである。いったい、進入生に何が起こっているのだろうか?来年の教養ゼミのことを考えると今から憂うつである...


佐伯修の教育活動