「2人以上が集会に出席しているとき,各人について,その中に知り合いが何人いるかを調べる.このとき知り合いの人数が同数であるような2人が必ず存在する.」
これは本当でしょうか?
良く考えると,これが本当であることが分かります.パズルの好きな人は以下の答を読まずに自分で考えてみて下さい.
答は次のようにすれば,割りと簡単にわかります.今,人数をn人としましょう.すると,知り合いの人数の可能性は0人からn-1人までのn 通りあります.しかし,知り合いが0人の人がいて(つまり,誰とも知り合いでない人がいて),なおかつ知り合いがn-1人である人がいる(つまり,他のす べての人と知り合いである人がいる)ことはあり得ません.したがって,知り合いの人数の可能性はいずれの場合も高々n-1通りです.ところが全部でn人い るので,その中にはこの「知り合いの人数」がだぶる人が2人は必ず現れなければなりません.これで上のパズルが示せたことになります.
なんだか狐につままれたような気もするかも知れませんが,これは以下のような命題を本質的に使っています.
「AとBを有限集合とする.もしAの要素の個数の方がBの要素の個数より多いならば,AからBへの単射は存在しない.」
これは「鳩の巣原理」と呼ばれています.実際は
「kn+1 (k > 0)羽の鳩とn個の巣箱があり,すべての鳩がこれらの巣箱のいずれかに入れば,巣箱のうちどれか1つにはk+1羽以上の鳩が同居していることになる.」
という原理のことですが,本質的には上の命題と同じものです.