ピタゴラスの定理の面積版


ピタゴラスの定理の「面積版」についてお話しましょう.皆さんもご存知のように,平面上の直角三角形に対し,斜辺の2乗が,他の2辺の2乗の和に等 しいというのが普通のピタゴラスの定理です.これは少し考え方を変えると,次のように解釈することもできます.平面に線分を置き,それに真上と真横から (平行な)光を当てます.そのときできた影の長さをa, bとすると,もとの線分の長さの2乗はa^2+b^2に等しくなるわけです.言い換えれば,線分自身の長さがわからなくても,それは2つの影の長さから計 算することができる,というわけです.これは線分が平面上でなくて,空間に置かれているときも同様で,この場合は3方向から当てた光による影の長さから, もとの線分の長さを求めることができます(これは皆さんでもできますので,考えてみて下さい).

では線分の長さではなくて,四角形の面積を考えるとどうなるでしょう?つまり,四角形を空間内に置いて,それに3方向から光を当てたときにできる影の面積から,もとの四角形の面積は求められるでしょうか?

答えは「Yes」です.実はピタゴラスの定理のときのように,3つの影の面積の2乗の和が,もとの四角形の面積の2乗に等しくなるのです.

このことはあまり知られていませんが,高校数学程度の知識でも証明できますので,興味のある人は挑戦してみて下さい.四角形が平行四辺形のときは,ベクトルの外積を使うときれいに証明できます.

また,上の定理は四角形でなくても,多面体や円板のように,平面の上に乗る図形ならば何でも良いことも知られています.


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