特記事項

最終更新日:2024年1月31日

当研究室学生(当時)の 中島 明 さんが国内学会 SCIS 2023 でSCIS論文賞を受賞

(2024年1月31日掲載)

当研究室卒業生の 中島 明 さん(大学院数理学府修士課程2022年度修了、指導教員:縫田 光司 教授)が、在学中(2023年1月)に国内学会「2023年 暗号と情報セキュリティシンポジウム(SCIS 2023)」で発表した論文により、同学会の論文賞であるSCIS論文賞を受賞しました。 授賞式はSCIS 2024会期中(2024年1月23日)に行われました。

同学会は1984年以来毎年開催され今年(SCIS 2024)で41回目の開催となる、国内の暗号・情報セキュリティ分野で屈指の歴史と規模を誇る学会です。 SCIS論文賞は若手の奨励を目的として1993年に設けられた栄誉ある論文賞であり、同学会で筆頭著者として論文を発表した学生(大学院生を含む)または学部卒業後10年以内の(同賞を未受賞の)著者が対象です。 近年では毎年200件程度の対象論文の著者のうち10名程度が受賞しています(2023年は対象論文217件(当研究室調べ)中、中島さんを含む8名が受賞)。 学生だけでなく既卒の若手研究者も対象とする同賞について、今回の中島さんのように修士課程在学時の発表による受賞は特筆に値します。 なお、本学所属の同賞受賞者は2017年(山口 純平 さん、大学院数理学府(当時))以来、通算で2人目の快挙です。 今後も当研究室では、教育活動を通じて優秀な学生を多く世に送り出すという形でも引き続き社会貢献を果たしていく所存です。

(写真:授賞式で発表された受賞論文一覧のスライド)
表彰式会場での受賞論文一覧の写真

参考情報:


当研究室の 池松 泰彦 助教が国際会議 WISA 2023 および国際会議 IWSEC 2023 で論文賞を受賞

(2024年1月31日掲載)

当研究室の 池松 泰彦 助教が、2023年8月に開催された国際会議 WISA 2023(The 24th World Conference on Information Security Applications)でBest Paper Award(最優秀論文賞)を、また同月に開催された国際会議 IWSEC 2023(The 18th International Workshop on Security)でBest Student Paper Award(最優秀学生論文賞)をそれぞれ受賞しました。

WISAは韓国の暗号・情報セキュリティ分野の学会や関連組織により毎年韓国で開催されている国際会議です。 暗号・情報セキュリティ分野では多くの国または地域において、その国・地域独自に定期的な査読付国際会議を主催する文化があり、WISAもそうした国際会議の一つとして国際的な地位を確立しています。 WISA 2023では全部で26件の論文が採択され、うち4件がBest Paper Awardを受賞しています。 池松助教が筆頭著者として発表した今回の受賞論文では、韓国の耐量子計算機暗号標準化プロジェクトKpqCへの応募方式の一つである電子署名方式MQ-Sign(多変数多項式暗号の一種)について、既知の攻撃手法よりも一般的な設定に適用可能な新たな攻撃手法を提示することで、同方式に安全性上の問題があることを理論と計算機実験の両面から明らかにしました。

IWSECは日本国内の暗号・情報セキュリティ分野の学会や関連組織により毎年日本国内で開催されている国際会議です。 前述のWISAと同様に、IWSECも2006年の初開催以降、各国主催の国際会議の一つとして国際的な地位を確立しており、特に近年では日本やアジア圏以外の地域からの発表論文が増加傾向にあります。 IWSEC 2023では全部で14件の論文が採択されました。 Best Student Paper Awardは学生(大学院生を含む)が筆頭著者である論文を対象とする論文賞であり、今回は池松助教らの論文(筆頭著者:古江 弘樹 さん(東京大学大学院情報理工学系研究科博士課程))が唯一の受賞論文でした。 同論文では、米国NISTによる耐量子計算機暗号標準化プロジェクトにおける有力候補の一つであった多変数多項式暗号による電子署名方式Rainbowへ適用され注目を集めたrectangular MinRank攻撃について、NIST標準化追加公募への応募方式である電子署名方式MAYOおよびQR-UOVの安全性に対する影響を分析しており、両方式の実用的な安全性強度に関するより精密な評価を可能としました。

上記2件の受賞論文はいずれも、暗号技術の国際的な標準化活動に対して、数学の専門的知見に基づくより精密な安全性評価の実現という観点で貢献するものであり、当研究室(先進暗号数理デザイン室)の理念を体現しています。

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