ワークショップ情報
文部科学省 共同利用・共同研究拠点「産業数学の先進的・基礎的共同研究拠点」九州大学マス・フォア・インダストリ研究所 共同利用研究(短期共同研究)
"大規模データに対する最大フロー求解アルゴリズムの実装技術の構築" に関する公開ワークショップを開催致します。
- 研究計画題目:大規模データに対する最大フロー求解アルゴリズムの実装技術の構築
- 研究代表者 :瀧澤重志(大阪市立大学・工学研究科・准教授)
- 研究実施期間:平成27年6月8日(月)~ 平成27年6月12日(金)
日程
- 2015年6月9日(火)
場所
- 九州大学伊都キャンパス 数理学研究教育棟 (32 番の建物) 3F 中セミナー室7
講演スケジュール
- 10:00 ~ 10:40 小林和博(海上技術安全研究所)
- 講演題名:普遍的最速流アルゴリズム実装の詳細と課題
- アブストラクト:普遍的最速流を求める方法として,もとのネットワークに対応する時間拡大ネットワーク上で最大フローを繰り返し求める方法がある.発表者らこの方法を用いて,大規模なネットワーク上で普遍的最速流を求めるプログラムを開発した.現状では,市町村規模のネットワークに対して,日単位の計算時間がかかっており,多数のシナリオに対するシミュレーションのためにはより高速な計算を実現することが望ましい.本講演では,現在の実装の詳細と課題を述べる.
- 10:50 ~ 11:30 安井雄一郎(九州大学共進化社会システム創成拠点)
- 講演題名:普遍的最速流計算における最大流アルゴリズム
- アブストラクト:時間拡大ネットワークを用いた普遍的最速流アルゴリズムは、入力ネットワークに対する時間拡大と最大流計算を繰り返す手法である。発表者らの数値実験により道路ネットワークに対する普遍的最速流計算では実行時間の大部分を最大流計算が占めることが明らかとなった。一方で先行研究では最大流アルゴリズムの性能は扱うグラフの特性(平面性や疎密性など)に依存することが指摘されている。このように効率的な普遍的最速流計算のためには適切な最大流アルゴリズムを選択する必要がある。本講演では最大流アルゴリズムの選択に関して数値実験結果を用いて説明を行う。
- 11:30 ~ 13:00 昼食&休憩
- 13:00 ~ 13:40 瀧澤重志(大阪市立大学)
- 講演題名:梅田地下街の浸水避難計画に対する数理技術を用いた支援
- アブストラクト:大阪北区の梅田地下街は世界でも屈指の利用者数を誇る大規模な地下街であるが,その北側に位置する淀川からの津波等に伴う河川氾濫や内水氾濫のリスクにさらされている.本講演では,大阪市地下空間浸水対策協議会の活動の一環として行った当該地区のマルチエージェントによる避難シミュレーションと,基礎的な最速フローモデルの適用事例を紹介し,本地域の浸水避難計画への数理的な手法による支援の可能性について話題提供を行う.
- 13:50 ~ 14:30 神山直之(九州大学 / JSTさきがけ)
- 講演題目:歩車混合避難計画問題
- アブストラクト:本発表では,塙,加藤,瀧澤,東川によって提案された歩車混合避難計画問題の紹介,および発表者によって得られた理論的成果と今後の課題に関する発表を行う.
- 14:40 ~ 15:20 佐藤憲一郎(海洋研究開発機構)
- 講演題名:津波避難計画の前提となる高精度津波シミュレーションと,被災後復旧段階における湛水域と道路網について
- アブストラクト詳細な地形データを使用する事で,津波浸水域の道路一本一本まで判別できる精度となった.そこでこの高精度な津波浸水シミュレーションの結果を用いて浸水深区分図を作成し,道路の利用可否を推定する手法について説明する.また被災後復旧段階の道路網について,行政により優先的に啓開される道路は事前に決められており,道路啓開・湛水域排水作業に取りかかる順序は地区により異なる.段階的に縮小していく津波湛水域と,それにともない利用可能となる範囲が拡大していく道路網について,行政による復旧手順をふまえて検討する手法について提案する.
- 15:20 ~ 15:50 休憩
- 15:50 ~ 16:30 斉藤努((株)構造計画研究所)
- 講演題目:Pythonによるグラフ・ネットワーク最適化
- アブストラクト:データ分析、機械学習などでPythonが利用される機会が増えています。数理最適化においても、線形最適化問題、整数最適化問題、非線形最適化問題など、さまざまな問題を解くことが可能です。本講演では、グラフ・ネットワークにおける最適化問題についても簡単に求解できることを紹介します。問題例としては、最短路、最大クリーク、最大マッチング、最小木、最小費用流、最大流などを事例とともに説明します。
- 16:40 ~ 17:20 藤澤克樹(九州大学 マス・フォア・インダストリ研究所 / JST CREST)
- 講演題名:グラフ解析と最適化技術で実現する都市OS
- アブストラクト:都市での生活を快適あるいは安全なものにするために都市 OS(オペレーティングシステム)の開発が始まっています.都市OSでは大量のセンサーデータやオープンデータテなどを用いて都市における交通網の設計を行ったり,異常事態の発生時における避難誘導を行ったりするための機能を持つことが想定されています.都市OSにおける革新的な新基軸としては数学的な手法(数理最適化問題やグラフ解析さらにネットワークフローによる分析)と計算技術(計算量とデータ移動量の考慮と最適化による高速かつ省電力計算)にあります.本講演ではこれらの特徴を持った都市OSに関する解説を行います.
- 19:30 ~ 21:30 懇親会
主催
組織委員
- 瀧澤重志(大阪市立大学・准教授)
- 清水正明(日立製作所 中央研究所 PS部・部長代行)
- 斉藤努(構造計画研究所・テクニカルマネージャー)
- 藤澤克樹(九州大学マス・フォア・インダストリ研究所・教授)
- 神山直之(九州大学マス・フォア・インダストリ研究所・准教授)
- 佐藤憲一郎(独立行政法人海洋研究開発機構・特任研究員)